食品の値上げが、秋に向けて再び加速しそうです。帝国データバンクが2026年6月30日に発表した「食品主要195社」価格改定動向調査によると、2026年9月の値上げは3,029品目と年内最多になる見通しで、単月3,000品目超えは11カ月ぶりとなります。
本記事では調査データの要点を整理し、飲食店・小売店が「夏の間に」打っておくべき対策を解説します。
調査の要点|7月は2,566品目、9月に年内最多へ
- 2026年7月の値上げは2,566品目(平均値上げ率11%)。単月2,000品目超えは4月以来3カ月ぶり
- 8月は1,898品目、9月は3,029品目と年内最多の見通し
- 2026年通年の判明分は1万4,902品目。5年連続で年間1万品目を突破し、年間では前年並みの2万品目台での着地が想定される
7月の分野別内訳
| 分野 | 品目数 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 加工食品 | 1,084品目 | 即席めん・缶詰など |
| パン | 1,078品目 | 食パン・菓子パン・総菜パンが大手中心に一斉値上げ |
| その他 | 404品目 | 調味料・飲料など |
背景|「中東発」のコスト高が食品に波及
今回の値上げの特徴は、原材料高(92.5%)に加えて包装・資材(69.8%、前年同月比+10.5ポイント)の影響が急拡大している点です。ホルムズ海峡の混乱による原油・ナフサ高で、トレーや食品フィルムなど石油由来の資材価格が上昇し、品薄も発生しています。
- 中東情勢を要因とする値上げが全体の24.7%を占める
- 物流費要因は71.9%。原油高が輸送コストに波及
- 為替は1ドル160円を超える局面もあり、輸入コスト上昇が続く
なお、酒税法改正によりビール製品では減税分の値下げも発生しており、酒類は「値上げと値下げが混在」する例外的な動きになっています。
店舗運営への影響
- 原価率の再上昇: 9月の値上げラッシュで、春に見直したメニュー原価が再びズレる可能性が高い
- 包材コストの直撃: テイクアウト容器・トレー・フィルムはナフサ由来のため、食材以上に上昇圧力が強い
- 仕入れの不安定化: 資材の品薄により、価格だけでなく調達自体が課題になるケースも
夏の間にやるべき5つの対策
1. 9月改定リストの把握
主要仕入れ先に9月改定予定の品目と改定率を今のうちに確認し、影響額を試算しておきましょう。値上げ通知が届いてから動くのでは遅く、メニュー改定の準備期間が取れません。
2. メニュー原価の再計算
春の価格で計算したままの原価率は、9月時点で数ポイント悪化する可能性があります。売れ筋メニューから優先的に再計算を。
3. 包材の見直し・複数社化
容器・トレーは食材より値動きが激しいため、仕様の簡素化や代替素材の検討、仕入れ先の複数化が有効です。
4. 値上げ告知の準備
価格転嫁する場合は、告知文やメニュー表の準備を8月中に。理由を丁寧に伝える店舗ほど客離れが起きにくい傾向があります。
5. 保存性の高い品の先行確保
調味料・乾物・冷凍品など保存が利くものは、9月改定前の計画的な仕入れでコストを抑えられます。ただし過剰在庫はロスの原因になるため、POSデータに基づく適量確保が前提です。
まとめ
値上げは「単発のイベント」ではなく、当面続く構造的な流れです。9月の値上げラッシュまで残り1カ月半。数字の把握と価格戦略の準備を夏の間に済ませておくことが、秋以降の利益を守る分かれ目になります。
出典: 帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査(2026年7月)(2026年6月30日発表)


