日本フードサービス協会が2026年10月26日に発表した9月の外食産業市場動向調査で、全体の売上は前年同月比107.3%となりました。ただし中身を見ると、天候の影響で客数が伸び悩み、客単価の上昇が売上を押し上げる構図です。小さな店が自店の数字を点検するうえで参考になるため、要点と対策を整理します。
9月の外食売上、ニュースの要点
協会の集計(228社・36,827店)では、全体の売上が107.3%、客数が102.3%、客単価が104.9%でした。数字はいずれも税抜ベースで前年と比べたものです。売上の伸びのうち、客数よりも客単価の寄与が大きいことが分かります。
| 業態 | 売上 | 客数 | 客単価 |
|---|---|---|---|
| ファーストフード | 109.7% | 103.4% | 106.1% |
| ファミリーレストラン | 103.9% | 100.7% | 103.2% |
| パブ・居酒屋 | 101.3% | 99.4% | 102.0% |
| ディナーレストラン | 105.2% | 105.0% | 100.2% |
| 喫茶 | 103.0% | 95.6% | 107.7% |
背景:雨の多い9月と5連休
協会は、秋雨前線の停滞や台風の接近で雨の日が多かったことを客足の押し下げ要因に挙げています。協会の資料では、東京の雨天日数が前年の8日から20日に、大阪が7日から14日に増えました。一方で、休日が1日多い曜日の並びと、11年ぶりの5連休となったシルバーウィークの帰省・観光需要、月見などの季節限定メニューが追い風になりました。
店舗運営への影響:業態で明暗が分かれた
居酒屋・喫茶は「雨=客数減」がそのまま出た
居酒屋の客数は99.3%、喫茶は95.6%と前年を下回りました。居酒屋では個人客が遠のき、予約のキャンセルも出たと協会は説明しています。喫茶は秋の限定ドリンクやスイーツ、価格改定で単価を上げ、客数の減少を補った形です。
ファーストフードは「限定メニュー×告知」で伸びた
洋風ファーストフードの売上は113.1%でした。協会は、月見メニューなどの季節商品を大々的に告知した効果を挙げています。大手の広告量は真似できませんが、「季節の限定品を決めて、来店前に知ってもらう」という手順は、小さな店でも応用できます。
経営者が取るべき対策
1. 売上を客数と客単価に分けて見る
売上が前年並みでも、客数が減って単価で埋めているだけなら、来店頻度の低下というリスクが残ります。POSの数字で毎月「客数・客単価・売上」の3つを前年と比べる習慣をつけましょう。
2. 雨の日専用の来店理由をつくる
予約キャンセルや来店控えは、天気予報の段階でおおよそ読めます。雨の日限定のクーポン、テイクアウト割引、LINEでの事前案内などを、あらかじめ型として決めておくと動きやすくなります。
3. 季節の限定品は「早めに決めて、先に知らせる」
11月以降も、年末年始に向けて単価を上げやすい時期が続きます。限定メニューは仕込みの都合もあるため、2〜3週間前には仕入れ先と数量を詰め、店頭とSNSで告知を始めておくのが現実的です。
4. 値上げは「客数が踏みとどまっているか」を見て判断する
客単価が上がっていても、客数が下がり続けているなら、値上げ幅や見せ方を見直すサインです。内容量や付加価値と合わせて説明できる形にすることをおすすめします。
なお、協会の数字は加盟会員社の回答にもとづく大手・中堅チェーン中心の集計で、個人店の実態とは差がある点にご注意ください。

