8月の外食売上、前年比104.9%——ニュースの要点
一般社団法人日本フードサービス協会は2026年9月25日、8月の外食産業市場動向調査を発表しました(日本フードサービス協会)。調査対象は229社・36,982店舗です。外食全体の売上は前年同月比104.9%で、前年を上回りました。内訳は客数が102.6%、客単価が102.3%です。
同協会は、お盆の需要や季節限定メニューが売上を支えた一方、月の後半は台風や局地的な大雨で客足が鈍ったとまとめています。
業態別の数字は次のとおりです。
| 業態 | 売上 | 客数 | 客単価 |
|---|---|---|---|
| ファーストフード | 105.8% | 103.7% | 102.0% |
| ファミリーレストラン | 103.7% | 100.8% | 102.9% |
| パブ・居酒屋 | 100.6% | 99.3% | 101.3% |
| ディナーレストラン | 105.5% | 102.9% | 102.6% |
| 喫茶 | 104.7% | 99.1% | 105.6% |
背景:売上を押し上げたのは「値上げ」と「話題づくり」
売上が前年を上回った背景の一つは、価格改定が客単価に反映されたことです。原材料やエネルギーのコストが上がり、多くの店が価格を見直してきました。帝国データバンクによると、10月の飲食料品の値上げは3,153品目で、2か月連続の3,000品目超えです(帝国データバンク、2026年9月30日発表)。値上げの波は当面続く見通しで、客単価の上昇は今後も続きやすい状況です。
もう一つは、キャラクターコラボやクーポンといった集客施策です。協会の発表では、これらの施策が好調だった業態が見られます。
天候リスクも無視できない
台風や局地的な大雨は、来店を見送る客を増やします。特にビアガーデンや屋外席を持つ店は、天候の影響を受けやすい業態です。
店舗運営への影響:「売上が伸びた=安心」とは限らない
客数が減る中での売上増は、少し危うい
表の中で目を引くのは、パブ・居酒屋と喫茶です。
- パブ・居酒屋は、客数が99.3%と前年を下回りました。客単価が1.3%上がったことで、売上はかろうじて100.6%にとどまっています。
- 喫茶は客単価が105.6%と大きく伸びた一方、客数は99.1%です。
つまり、これらの業態では「来店客が減り、1人あたりの支払いが増えて売上を保った」形です。この状態が長く続くと、常連の離れやすさや固定費の重さが表面化するおそれがあります。
客数が伸びた業態の共通点
ファーストフードとディナーレストランは、客数も前年を上回りました。ただし、この調査は主に大手チェーンが中心です。個人店や小規模店の実感とは違う場合があります。数字は「自店の比較対象」として使うのが適切です。
経営者が取るべき対策
① 自店の「客数」と「客単価」を分けて見る
売上の合計だけを見ると、値上げで客数が減っていても気づけません。POSレジや会計データから、前年同月の客数・客単価・組数を確認してください。レジの集計機能があれば数分で出せます。
② 値上げ後の客離れを点検する
値上げをした店は、値上げの前後で客数がどう動いたかを見比べます。減少が目立つ場合は、看板メニューの価格を据え置き、周辺メニューで調整する方法があります。原価と価格の考え方は、当サイトの飲食店の原価率と値付けの基本も参考にしてください。
③ 天候に左右されにくい集客の型をつくる
雨の日限定のクーポンやLINEでの事前予約特典など、悪天候でも来店の動機になる仕組みを用意します。テイクアウトや配達の窓口を持っておくと、店内客が減った日の売上の穴埋めになります。
④ コラボ・クーポンは「利益」で評価する
協会の発表では、コラボやクーポンが好調な例が挙がっています。ただ、小規模店が同じことをする場合は、割引で粗利が削れて手元に残らない事態に注意が必要です。実施前に、割引後の粗利で採算が合うかを計算してください。
⑤ 数字を見る習慣を月次でつくる
協会の統計は毎月下旬に前月分が公開されます。自店の月次データと並べると、業界平均との差が分かります。差が大きい月は、原因を仮説として立て、翌月に試すという流れを作るのがおすすめです。
まとめ
8月の外食は、売上こそ前年を上回りました。しかし業態別に見ると、客数の減少を客単価の上昇でカバーしている業態があります。自店の客数と客単価を分けて確認し、値上げ後の動きや天候リスクに備えることが、これからの経営判断の土台になります。なお、本記事は公表統計に基づく一般的な解説で、個別店舗の成果を保証するものではありません。
出典
- 日本フードサービス協会「2026年8月度 外食産業市場動向調査」(2026年9月25日発表)
- 帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2026年10月」(2026年9月30日発表)


