2026年夏に実施されていた政府の電気・ガス料金支援が、9月使用分(10月検針・請求分)を最後に終了する見込みです。あわせて大手電力10社は10月請求分の値上げを発表しており、10月以降、店舗の光熱費はこれまでより一段と重くなります。冷蔵・冷凍機器や空調を多く使う飲食店・小売店にとっては見過ごせない変化です。本記事では、値上げの要点と背景、店舗運営への影響、そして今すぐ取り組める対策を整理します。
ニュースの要点:料金支援は9月使用分で終了、10社が値上げ
経済産業省は、2026年7月~9月の使用分を対象に、使用量に応じた電気・ガス料金の支援(自動値引き)を実施してきました。この支援は9月使用分(多くの家庭・事業者では10月検針・請求分)が最終月とされ、10月以降の継続は現時点で発表されていません(経済産業省、2026年6月12日)。
さらに大手電力10社は、2026年8月28日に9月使用分(10月請求分)の電気料金を発表し、標準的な家庭で252~510円の値上がりとなりました。北海道電力、東北電力、東京電力EP、中部電力ミライズ、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の全社が値上げとなっています(各社発表、2026年8月28日)。支援の縮小・終了と燃料価格の上昇が重なり、10月以降はさらに負担が増える見通しです。
なぜ光熱費が上がるのか(背景)
値上げの要因は大きく2つです。1つ目は、これまで料金を押し下げてきた政府の値引き支援が縮小し、9月使用分で終わること。2つ目は、燃料そのものの価格上昇です。2026年2月末のホルムズ海峡の事実上の封鎖をきっかけに、原油・石炭・LNG(液化天然ガス)の輸入価格が上がり、燃料費調整単価を通じて電気・ガス料金に反映されています。
参考までに、夏の支援期間中の値引き単価(低圧・都市ガス)は次のとおりで、月によって手厚さが異なりました。この値引きが10月以降はなくなるため、同じ使用量でも請求額は上がることになります。
| 使用月 | 電気(低圧) | 都市ガス |
|---|---|---|
| 2026年7月使用分 | 3.5円/kWh | 14.0円/m³ |
| 2026年8月使用分 | 4.5円/kWh | 18.0円/m³ |
| 2026年9月使用分 | 3.5円/kWh | 14.0円/m³ |
| 2026年10月使用分~ | 支援なし(未発表) | 支援なし(未発表) |
たとえば低圧契約で月2,000kWhを使う店舗の場合、3.5円/kWhの値引きがなくなると、単純計算で月あたり約7,000円(税抜)の負担増となります。使用量の多い店舗ほど影響は大きくなります。
飲食店・小売店への影響
店舗は一般家庭に比べて電力使用量が多く、光熱費が固定費に占める割合も高い業態です。飲食店では厨房の冷蔵・冷凍機器、給湯、空調、換気が、小売店では冷蔵・冷凍ショーケースや照明が電力の中心を占めます。これらは営業時間中ほぼ止められない設備のため、値上げの影響を回避しにくいのが実情です。
また10月以降は暖房需要が立ち上がる季節にあたり、冬に向けて電気・ガスの使用量そのものが増えていきます。「単価の上昇」と「使用量の増加」が同時に進むため、対策の遅れがそのまま利益の目減りに直結します。原材料費の上昇が続くなかで、光熱費まで上振れすると資金繰りへの圧迫は無視できません。
店舗経営者が取るべき5つの対策
① 契約プラン・契約電力を見直す
まずは現在の契約内容の確認です。基本料金の算定根拠となる契約電力(低圧なら契約アンペアやkVA)が実際の使用実態に対して過大でないか、電力会社や新電力のプランと比較して割高になっていないかを点検します。検針票や電力会社のWeb明細で、直近1年の使用量とピークを把握することが第一歩です。
② 高効率機器への更新(冷蔵・空調・照明)
消費電力の大きい古いエアコン・冷蔵冷凍機器・照明を、省エネ性能の高い機種やLEDへ更新すると、電気代の削減効果が大きく出ます。とくに10年以上前の業務用エアコンや冷凍ショーケースは、更新で電力使用量を大きく下げられる場合があります。初期費用はかかりますが、後述の補助金と組み合わせて負担を抑えられます。
③ ピーク電力を抑える日々の運用
設備投資をしなくてもできる工夫もあります。空調の設定温度の適正化(夏28℃前後・冬20℃前後を目安に)、フィルター清掃、開店前の一斉起動を避けて機器の立ち上げ時間をずらす、冷蔵庫の詰め込みすぎを避ける、閉店後の不要な照明・待機電力を切る、といった運用の徹底です。ピーク時の使用を平準化すると、契約電力の抑制にもつながります。
④ 省エネ・省力化の補助金を活用する
高効率機器の導入には、国や自治体の補助金を活用できる場合があります。中小企業向けの省力化・設備投資関連の補助金や、自治体の省エネ設備導入補助などが代表例です。公募期間や対象要件は制度ごとに異なるため、導入計画を立てる段階で最新の公募情報を確認し、申請スケジュールから逆算して機器選定を進めると無駄がありません。
⑤ 値上げを前提に資金繰りと価格を点検する
10月以降の光熱費上昇を織り込んだうえで、月次の固定費と資金繰りを見直しておきましょう。光熱費が売上に対して何%を占めているかを把握し、上昇分を吸収できるか、価格やメニュー構成の調整が必要かを検討します。値上げは慎重な判断が必要ですが、コスト構造を数字で把握しておくことが、あわてない経営の土台になります。
まとめ
電気・ガス料金支援は2026年9月使用分で終了し、10月以降は支援分の値引きがなくなるうえ、燃料価格の上昇も重なって光熱費はさらに上がる見通しです。冬に向けて使用量も増える時期だからこそ、契約の見直し・機器更新・運用改善・補助金活用・資金繰りの点検を早めに進めることが、利益を守る鍵になります。最新の公募や料金情報は各公式サイトで必ず確認してください。
出典
- 経済産業省「2026年7月、8月及び9月使用分の電気・ガス料金支援の実施に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可・承認を行いました」(2026年6月12日)https://www.meti.go.jp/press/2026/06/20260612003/20260612003.html
- エネチェンジ「【2026年10月】電気代の値上げ最新情報まとめ」https://enechange.jp/articles/electricity-price-increase
- 中部電力ミライズ「2026年10月分電気料金の燃料費調整について」(2026年8月28日)https://miraiz.chuden.co.jp/info/press/1218254_1938.html
- 北海道電力「2026年10月分電気料金の燃料費等調整に関するお知らせについて」https://www.hepco.co.jp/info/2026/1253170_2073.html

