マイナビは2026年9月15日、「2026年8月度 アルバイト・パート平均時給レポート」を公開しました。飲食・フード職の募集時給は全国平均で1,215円となり、2026年に入って5回目の過去最高更新です。一方、同じレポートでは求人倍率が0.79倍にとどまることも示されています。時給を上げれば人が集まるとは限らない状況を、店舗経営の視点で整理します。
ニュースの要点:飲食フードの時給は過去最高、でも求人倍率は低め
この調査は、アルバイト求人サイト「マイナビバイト」に掲載された求人広告のデータを集計したものです。実際に支払われた賃金ではなく、募集時の時給である点に注意してください。2026年8月の主な数字は次のとおりです。
| 項目 | 2026年8月の数字 |
|---|---|
| 全職種の全国平均時給 | 1,303円(前月比6円増) |
| 飲食・フードの全国平均時給 | 1,215円(前月比4円増、前年同月比43円増) |
| 飲食・フードの求人倍率 | 0.79倍 |
| 三大都市圏の飲食・フード | 1,248円(調査開始以来の最高額) |
| 最も低いエリア(北海道・東北) | 全職種平均1,203円(全国平均との差100円) |
調査担当者は、飲食・フードでは時給上昇が続く一方で求人件数が必ずしも増えておらず、省人化や業務効率化の進展が採用動向に影響している可能性があると述べています。
背景:賃金の底上げと、人手を減らす工夫が同時に進んでいる
飲食店では、最低賃金の引き上げや他業種との人材の取り合いを背景に、募集時給が毎年のように更新されています。同じ調査では、工場・倉庫・建築・土木の時給がオフィスワークを187円上回り、2023年の28円差から広がったことも紹介されています。体力を使う現場系の仕事ほど賃金競争が強まっている、という見方もできます。
その一方で、飲食業界ではセルフレジ、モバイルオーダー、配膳ロボットなどの導入で、必要な人数そのものを減らす動きも進んでいます。時給が上がっても求人が伸びにくいのは、こうした事情が一因かもしれません。なお、これは調査担当者が示す「可能性」であり、因果関係が確認された結果ではありません。
店舗運営への影響
自店の時給が周辺の相場より低いと、応募が集まりにくくなります。求人倍率が1倍を下回っていても、これは全国の求人全体の数字であり、自店の立地や時間帯で人を確保できるかは別の問題です。人件費が上がる局面では、時給の設定だけでなく、必要な人時数そのものを見直す視点が欠かせません。
経営者が取るべき対策
1. 地域の相場と自店の時給を比べる
求人サイトで半径数キロ内の同業種・同時間帯の募集を確認し、自店との差を把握します。全国平均はあくまで目安です。エリアによって約100円の差があるため、自店の地域の水準を基準にしてください。
2. 時給以外の魅力を整える
シフトの柔軟さ、まかない、教育のしやすさ、昇給の基準など、時給以外で選ばれる理由を求人票に具体的に書きます。書き方は、当サイトの求人票の記事も参考にしてください。
3. 人時売上高で必要な人数を見直す
時間帯ごとの売上と人員を並べ、暇な時間帯に人が余っていないかを確認します。人件費の比率を一定に保つには、時給を上げた分だけ、必要な人時数を調整する発想が必要です。
4. 小さな省人化から試す
券売機、QRオーダー、予約の自動化など、投資額が小さく効果を測りやすいものから始めます。省力化投資には補助金が使える場合があるので、申請の可否も合わせて確認してください。
5. 定着率を上げて募集コストを抑える
採用し直すたびに、募集費用と教育の手間がかかります。マニュアルの整備や面談の機会づくりで辞めにくい環境を整えることは、時給アップと並ぶ現実的な対策です。
まとめ
飲食フードの募集時給は過去最高を更新していますが、求人は増えておらず、時給競争だけが採用の答えではなくなってきました。地域相場の確認、求人票の改善、人時数の見直し、小さな省人化、定着率の向上の5点を、今期の人件費計画に組み込んでください。
出典
- マイナビキャリアリサーチLab「2026年8月度 アルバイト・パート平均時給レポート」(株式会社マイナビ、2026年9月15日公開)https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260915_114762/

